安部公房
安部公房『密会』《11》からのつづき(1回目と目次はこちら、登場人物は《2》に、あらすじは《3》に書いてあります)。 仮面女について語ってみよう。 仮面女は「ぼく」の妻? 『密会』の物語は、ある朝突然、救急車で巨大病院に連れ去られた「ぼく」の妻を…
安部公房『密会』《10》からのつづき(1回目と目次はこちら、登場人物は《2》に、あらすじは《3》に書いてあります)。 『密会』をはじめて読んだとき(ずいぶんとむかしのことです)から、ずっと気になっていたことがある。この作品のタイトルは『密会』だ…
安部公房『密会』《9》からのつづき(1回目と目次はこちら、登場人物は《2》に、あらすじは《3》に書いてあります)。 これまでのところ『密会』のシリーズは、安部公房の言葉(エッセイやインタビュー)に寄り添うかたちで、あれこれと語ってきた。11回目以…
安部公房『密会』《8》からのつづき(1回目と目次はこちら、登場人物は《2》に、あらすじは《3》に書いてあります)。 女秘書について語ってみよう。 女秘書登場 女秘書(副院長の秘書)と「ぼく」がはじめて出会う場面をみてみよう(小説のページの順ではじ…
安部公房『密会』《7》からのつづき(1回目と目次はこちら、登場人物は《2》に、あらすじは《3》に書いてあります)。 副院長(馬)について語ってみよう。 悪趣味 地獄 カーニバル 『密会』をはじめて読んだのは、19か20歳の頃だった。それまで安部公房の作…
安部公房『密会』《6》からのつづき(1回目と目次はこちら、登場人物は《2》に、あらすじは《3》に書いてあります)。 『密会』の創作の過程とその周辺を、さらに見てゆこう。 幻の『密会』 (1976年10月頃) 安部公房の作品は長い時間をかけて仕上げられる…
安部公房『密会』《5》からのつづき(1回目と目次はこちら、登場人物は《2》に、あらすじは《3》に書いてあります)。 『密会』がどのような過程を経て完成されたのか見てみよう。 最初のきっかけは新聞記事 (1973~74年頃?) 『密会』のいちばんはじめの…
安部公房『密会』《4》からのつづき(1回目と目次はこちら、登場人物は《2》に、あらすじは《3》に書いてあります)。 『密会』の舞台となった巨大病院とその背景について語ってみよう。 都市のイメージと巨大病院 安部公房の作品では、都市のイメージが繰り…
安部公房『密会』《3》からのつづき(1回目と目次はこちら)。 前回、わたしの書いた『密会』のあらすじ(こちら)とノートの記述を照らし合わせて検討してみよう。 あらすじとノートの記述の矛盾点 『密会』のあらすじは、ノート〈1〉~〈3〉+付記に書かれ…
安部公房『密会』《2》からのつづき(1回目と目次はこちら)。 『密会』のあらすじについて語ってみよう(登場人物と物語の舞台については《2》に書いてあります)。 あらすじ 『密会』は「ぼく」が執筆したノート〈1〉~〈3〉+付記という構成になっている…
安部公房『密会』《1》からのつづき。 『密会』の登場人物と物語の舞台について語ってみよう。 登場人物 はじめに主要な登場人物たちをご紹介。 ぼく――三人称での表記は「男」。年齢32歳。身長1.76メートル、体重59キロ。やせ型で筋肉質(運動神経はいいらし…
今日のお天気は晴れ。 9月になって暑さもやわらいできた。 安部公房『密会』について語ってみよう。 目次 このシリーズ(全16回)は『密会』の奇妙で不気味な世界とその魅力について語ります。 地獄への旅行案内――イントロダクション(このページです)。 …
安部公房『箱男』《21》からのつづき(1回目と目次はこちら、登場人物とあらすじは《2》に書いてあります)。 『箱男』の謎解きについて、ひととおりまとめておこう。 (検索などから直接こちらに来られた方へ:お時間のある方は《1》から順に読まれると謎解…
安部公房『箱男』《20》からのつづき(1回目と目次はこちら、登場人物とあらすじは《2》に書いてあります)。 『箱男』の構成A-B-A’のA’パートについて、さらに語ってゆこう。 「開幕5分前」で語っているのは誰? 《20》で語ったようにA’パートは箱男「…
現在、わたしの手もとにある安部公房に関係した書籍、参考資料をひととおりまとめておこう(そのうち、それぞれの書籍についていくらか詳しく語ってみたい…)。 書籍 安部公房全集 全30巻 新潮社 1997-2009 近藤一弥氏の装幀が素晴らしい(東京ADC原弘賞を受…
安部公房『箱男』《19》からのつづき(1回目と目次はこちら、登場人物とあらすじは《2》に書いてあります)。 『箱男』の構成A-B-A’のA’パートについて語ってゆこう(構成についての詳細は《16》を参照)。 A’パートは箱男「ぼく」のお話ではあるけれど…
安部公房『箱男』《18》からのつづき(1回目と目次はこちら、登場人物とあらすじは《2》に書いてあります)。 ノートの真の筆者が「ぼく」になりすました箱男である可能性(裏コードとでも呼ぶべき読み方)について、なぜそのように推理したのかをまとめてお…
安部公房『箱男』《17》からのつづき(1回目と目次はこちら、登場人物とあらすじは《2》に書いてあります)。 元カメラマンの箱男「ぼく」が確かに存在していることのあやうさを、文章のディテールから探ってみよう。 犯人は語りすぎるものかもしれない 「安…
安部公房『箱男』《16》からのつづき(1回目と目次はこちら、登場人物とあらすじは《2》に書いてあります)。 わたしの仮説について、ひきつづき語ってゆこう。 小説のデザイン 安部公房の小説のデザイン(構成)には定評がある(皆さんも、そう思われるでし…
安部公房『箱男』《15》からのつづき(1回目と目次はこちら、登場人物とあらすじは《2》に書いてあります)。 謎解き(裏コードとでも呼ぶべき読み方)を語る前に、『箱男』の各章がどのように構成されているのかを簡単に見ておこう。 『箱男』の構成はA-B…
安部公房『箱男』《14》からのつづき(1回目と目次はこちら、登場人物とあらすじは《2》に書いてあります)。 『箱男』に関係した物語を『安部公房全集』に探してみよう。 長編小説と短編小説の関係 安部公房は書き下ろしの長編小説(単行本)を刊行する前に…
安部公房『箱男』《13》からのつづき(1回目と目次はこちら、登場人物とあらすじは《2》に書いてあります)。 『箱男』の謎を探求するには、『箱男』がどのように書かれたのか、その創作の過程を見ておく必要があるように思う。 『箱男』は6年の歳月をかけて…
安部公房『箱男』《12》からのつづき(1回目と目次はこちら、登場人物とあらすじは《2》に書いてあります)。 『箱男』の「裏コードとでも呼ぶべき読み方」(ディープな謎解き編)について語ってゆこう。 箱男の真相 あなた誰? 「ここに再び そして最後の挿…
安部公房『箱男』《11》からのつづき(1回目と目次はこちら、登場人物とあらすじは《2》に書いてあります)。 軍医殿が箱男かどうかを、ふたたび見てゆこう。 「死刑執行人には罪はない」の軍医殿 「死刑執行人には罪はない」に登場する軍医殿は箱男だろうか…
安部公房『箱男』《10》からのつづき(1回目と目次はこちら、登場人物とあらすじは《2》に書いてあります)。 軍医殿の視点について、さらに見てゆこう。 贋医者は軍医殿の視点からずっと見られている 「Cの場合」で見てきたように、この章での「ぼく」の視…
安部公房『箱男』《9》からのつづき(1回目と目次はこちら、登場人物とあらすじは《2》に書いてあります)。 「Cの場合」の「ぼく」軍医殿の視点について考えてみよう。 はじめに小説の視点についての簡単なご説明 小説には視点というものが存在する(小説を…
安部公房『箱男』《8》からのつづき(1回目と目次はこちら、登場人物とあらすじは《2》に書いてあります)。 軍医殿が箱男かどうかを、さらに検証してゆこう。 軍医殿 「ぼく」として語る 前回の「別紙による三ページ半の挿入文」につづき、軍医殿が登場する…
安部公房『箱男』《7》からのつづき(1回目と目次はこちら、登場人物とあらすじは《2》に書いてあります)。 『箱男』の謎解きを語ってみよう。 解ける謎 解けない謎 『箱男』には、解ける謎と解けない謎があるとわたしは考えている。解ける謎の方は、なぜ贋…
安部公房『箱男』《6》からのつづき(1回目と目次はこちら、登場人物とあらすじは《2》に書いてあります)。 『箱男』の文章と構成について語ってみよう。 文章 センテンスに隠された意味 『箱男』には、いろいろな謎や不可解なところがたくさんある。その謎…
安部公房『箱男』《5》からのつづき(1回目と目次はこちら、登場人物とあらすじは《2》に書いてあります)。 そろそろ『箱男』の謎解きを語りはじめたいところだけれど、その前にメインの物語のあいだに差し挟まれた挿話のひとつ「贋魚」のお話「それから何…