鞠十月堂

詩と文学と日記のブログ

腕に包帯を巻いた彼女

 今日もあまりよくない日。

 ちょっとしたもの音が、つらく感じられる……

 夢のお話(第12話)。

 明け方夢にでてきた人は、カモミールの花柄のノースリーブを着て、右手の手首から二の腕にかけて包帯を巻いていた。それでも腕の傷のすべては隠しきれなくて、親指のつけ根あたりに赤い傷がのぞいて見えた。

 彼女はわたしのよく知っている人だった。

 古風な洋館を思わせる喫茶店で、わたしと彼女は話をした。なにを話したのかは、よく覚えていない。

 話がひと区切りつくと、彼女はだまって席を立った。わたしは彼女を目で追った。2階へあがる階段のちかく、わたしの視界から彼女が消える寸前のところだった。突然ばたりと彼女が倒れた。

 わたしはびっくりして彼女に駆け寄った。

 つぶせに倒れている彼女は、ほんの少しも動かなかった。彼女の首のあたりから血が流れているのが見えた。

 死んでいる…… そう思った。

 どうしたらいいのか分からずに、彼女の前で戸惑っていると、ひとりの男性がわたしの前に現れた。

 「彼女はまもなく生き返りますよ」

 と、男性はわたしに言った。

 その言葉どおり、しばらくすると彼女はわたしの目の前で生き返った。目をぱっちりと開いた彼女は、なにごともなかったかのように、ごく普通の顔をしていた。

 わたしは彼女が生き返ったことにほっとした。それから、とても怖くなった。なにが怖いのかは、よく分からない。その怖さのなかでぼんやりと、ここはそのような場所なのだろう、とわたしは思った。

 

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