鞠十月堂

詩と文学と日記のブログ

戒厳令の夜

 今日はよい天気。

 気分は、ほどほど。

 夢のお話(第19話)。

1 戒厳令

 夜、わたしは自宅の居間でくつろいでいた。居間にはわたしの他に、もうひとり男性がいた。年齢は35~40歳くらい、どこか村上春樹に似ているけれど、もちろん村上春樹ではなかった。

 わたしとその男性との関係は不明。彼はソファに腰掛けてテレビを見ていた。わたしはテレビがあまり好きではないので、見ていない。

 「戒厳令が布かれたらしい」と、その彼が言った。

 テレビを見ると、アナウンサーがいくらか早口で戒厳令が布かれたことを告げていた。わたしはあまり驚かなかった。

 ブラインドの隙間から、そっと外の様子を窺った。道をはさんだ隣の家に、たくさんの兵士が入ってゆくのが見えた。その人数は、ゆうに50人を超えるだろうか。

 あの家を部隊の拠点にするのね、とわたしは思った。でも、あそこは普通の家だから、あんなに人が入っていったら、身動きがとれなくなっちゃうよ。それにトイレだって大変だと思うけれど、どうかな?

2 大型スーパー

 わたしは、大型スーパーのレジに並んでいた。買ったものはお総菜とサンドイッチ、ペットボトルに入った飲み物。たいした買い物ではなかった。会計を済ませた後、これってわざわざここで買わなくてもよかったかな、と思った。

 買い物袋を手にさげて、トイレに行った。

 あら、なんてこと! トイレの前には長蛇の列が出来ていた。順番を待っている人が50人くらいはいるよ。こんなところに並んでなんかいられない。わたしは階段を降りて、下のフロアにむかった。

 わたしは秘密のトイレの場所を知っている。

3 高校

 どこか見覚えのある光景だった。ここは、わたしがむかし通っていた高校。ふるびた木造校舎の匂いが懐かしい…… 薄暗い廊下を歩いていた。入口はどこだったかな?

 秘密のトイレは、教室と教室のあいだの細い隙間からゆくんだよ。

 それにしてもすすみにくい…… 背中を器用に丸めていないと、頭をぶつけてしまう。通風口のような狭い通路を這うようにしてすすんだ。この通路は教室にも接していて、授業をしている先生の声が聞こえた。授業の内容は…… 藤原定家かな。

 あれ? まだつかない…… ひさしぶりなので間違えちゃった?

 いくらか気持ちが焦ってきたときのことだった。やっと目的のトイレに到着した。そうそう、ここよ。すべて板張りの、トイレとは思えない広々とした空間。古式ゆかしい感じが素敵。でも、こんなふうに見えてもちゃんと水洗トイレ。

 ふう、すっきりした。さあ、戻ろう……

 あれ、おかしいよ。すっきりとしたはずが、そうじゃなかった。どうしてだろう? どこかからだの具合がわるいのかな? そう思いながら目が覚めた。

 眠い目をこすりながらトイレへ行った。

 戒厳令と言われれば、たしかにそうだけれど、夢ってやっぱり面白い。

 

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