鞠十月堂

詩と文学と日記のブログ

ガルシア=マルケスの不思議

 今日も晴れのよい天気。

 でも、やはり寒い。

 先日、ガブリエル・ガルシア=マルケスの出てくる短い夢を見た(第22話)。

 夢の舞台は、アルハンブラ宮殿をおもわせる古城のとある一室。壁や天井に施された複雑で精緻な装飾が美しい。小さな窓から入ってくる陽光が、室内をやわらかな明るさで満たしていた。

 部屋のほぼ中央にすっと立っているマルケスの足もとには、なにやら丸くて小さな白いものが…… なにかな?

 これって、ゴルフボール?

 どうやらマルケスはこの古城でゴルフに興じているらしい…… (現実のガルシア=マルケスってゴルフするの?)

 彼の手に握られているのは、ゴルフクラブというよりは、銀で装飾されたステッキに見えるけれど……

 と思っていたら、マルケスがそのステッキのようなゴルフクラブをしゅっとひと振りした。

 ナイスショット…… ???

 ボ、ボールが真後ろに飛んでゆくよ!! なにこれ?

 どうしてだかは分からないけれど、前に飛ぶはずのボールが後ろに勢いよく飛び出した。部屋の小窓を抜けて、青空をぐんぐん昇ってゆく。そのボールを追いかけ、わたしも窓を飛び出した(夢ってこんなもの…)。

 青空に美しい弧をえがき飛ぶボール。やがてむかいの棟の小さな窓にすっと吸い込まれた。

 待って…… ボールを必死で追いかける。

 石造りの古城のなかを、ボールは不規則に跳ね回った。こちらの部屋から、あちらの部屋へ。あちらの部屋から、こちらの廊下へ。ボールの勢いはなかなか衰えない。

 やがて床に刻まれた細い溝にボールがコンと落ちた。ころころころ…… 溝をゆっくりと転がるボール。最後に溝から小さく飛び跳ねると、床の四角くしるしをつけられた枠のなかにぴたりと止まった。

 は???

 夢のなかのガルシア=マルケスの説明。

 先ほどのショットは第2打で、第1打目の場所(ティーグランド?)に再びボールを戻したとのこと。ボールを後ろ向きに飛ばすのはさすがにむつかしいが、1万回に1回くらいは成功する、ということだった。

 なにがなんだかよく分からないけれど、ガブリエル・ガルシア=マルケスはとにかくすごい、そう思って目が覚めた。

 

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