工事中 足もとにご注意ください
今日のお天気は曇り空。
おだやかな明るさ。
少し前のことになるけれど、自宅近くの川を工事していた。地面(この写真では川底)を掘っている工事現場って、どこかしらこころひかれるものがある……
とある月曜日、メランコリックな曇り空のもと、工事現場の近くを歩いているマリ所長とW君。
「マリ所長、工事していますね」
「そうね」
「そちら、ぬかるんでいますから気をつけて下さいね」
「W君」
「はい」
「わたしにも右0.7、左1.0の、それなりによく見える目があるの。その目で見えているものを、他の誰かから、あれこれ言われるのは好きじゃないな。そのことは、知っているでしょ? 同じことを何回も言わせないでちょうだいね。わたしの話、聞いてる?」
「所長、あっ!」
たぷん。
「………………」
「………………」
工事現場のぬかるみに、右足がとっぷりと浸かってしまったマリ所長であった。
「W君」
「はい、所長」
「ここは笑うところかしら?」
「ペーソスという言葉もありますが……」
「わたしはいまここにある小さな不幸を受け入れることによって、やがて訪れるであろう大きな悲劇の運命を回避しました。あなたには分からないでしょうけど……」
「………………」
「………………」
マリ所長ってこんなキャラだったかな? マリ所長、迷走中……
迷走しているのは、このわたしの方か……