10月の日記 キンモクセイの香り
今日のお天気は曇り。
この頃はずいぶんと日が短くなってきた。
ひさしぶりの日記は、お散歩写真でも……
寄り集まった小さなオレンジ色の花たち、キンモクセイの図。
キンモクセイが香る頃になると、今年も残り少なくなったなあと思う。いまの気分で、村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』から、少しだけ……
『ねじまき鳥クロニクル』に登場する魅力的なキャラ、加納クレタは1990年、書き下ろし短編小説「加納クレタ」(『TVピープル』に収録』)に、はじめて登場する。そして、物語の結末で残酷に喉を裂かれて殺されてしまう。それから3年後『新潮』に連載された長編小説『ねじまき鳥クロニクル』のなかに加納クレタは再び現れる。
(物語世界では書かれたものだけが次に姿をかえて登場することが出来る…)
加納クレタは「僕」にむかって長い話をする。
「姉[加納マルタ]はこの五年間、私を霊媒として使ってきましたが、それは姉がただ単に私を道具として利用していたということではないのです。彼女はそうすることによって、ある意味で私の回復を助けていたのです。いろんな人々の意識なり自我なりを私に通過させることによって、私が自分というものを獲得することが可能になると、姉は考えていたのだと思います」
加納クレタは「二十六年のあいだ私は何ものでもなかったのです」と語り、彼女はそれまでの名前「加納クレタ」を失ってしまう。
10月はこんなところです。