名前をもたない子供たち
I
わたしはNの物語を埋葬したいんだ なぜって?
わたしはいまでも名前をもたない子供たちを愛しているから
II
小鳥のさえずりや木洩れ日だけが知っていた
野道を歩こう どの道をすすめばいい?
森の奥深くに巨大な木造建築の講堂があるという
磨き上げられた床にみんなであつまり映画を見た
色褪せた映像は粗い粒子だった いつの時代の出来事?
スクリーンから抜け出してきたように子供たちが並んでいた
牡牛を描け! 突然の雷鳴のような叫びだった
ひとりの子供が床に墨のモップで荒々しく牡牛を描いた
美しさの冥府の兵士がきみたちを取り囲むように立っている
兵士は涙のかわりにきみの残酷を狙い撃つだろう
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