夜を歩く
夜を歩く 駅前の階段を下りる
左折 陸橋を渡る アーケード商店街を抜ける
ふと見上げたアパートの窓から転がり落ちてゆく物語たち
ころろん (あり得た世界だけが わたしたちに語りかけてくる
いつだって おおすぎる言葉たちに囲まれていた
あり得たかもしれない世界のことは?)
細い路地のそこかしこから夜の茎が伸びてゆく
するするする (消失の瀬戸際から旅立ってゆくものもある)
ポケットにしのばせていた詩集に指先を触れてみる
くすくす笑い (夜の秘密を分かちあおうよ!)
#0193
- 次回 アジサイ 雨降り 小さな宇宙
- 前回 螢