村上春樹 小説の技術《1》 文体
今日は雨降り。
気温はあたたか。
お散歩はお休み。
わたしは文章について、村上春樹からおおくのことを教わった。いくらかの偶然といまの気分から、目にとまったところを引用してみよう。
1990年のインタビューから。
いちばん大事なのは言葉なんです。言葉が出来れば物語は出てくるんです。どれだけ物語があっても言葉がなければ出てこないんです。
どうしてあんなに文体というものをみんなが軽視するのか、僕はよく分からない。(……)短編はそれを鍛えるためのものなんです。文体というビークルをつくって用意して、そこに乗っかるのが長編なんだと思う。
イメージと物語はだれもが持っている。ここに書かれいてることは、その前提をふまえてのことだと思う。なんらかの創作をしたことがあるひとなら、ここで村上春樹が言っていることが、しみじみと感じられるんじゃないかなって気がするけど、どうだろう。
言葉のトーンが定まれば、文章がいきいきと流れはじめる。わたしの感覚だとこんな感じ。そのような推進力を得た言葉だけが、イメージや物語の世界をすすむことが出来る。言葉は旅するための乗り物であり、その先へとすすんでゆくための強力なエンジンになる。
言葉が十分でないとすべてが上手くいかなくなってしまう。失速してしまう。くぼみに落ちたり、出っ張りに乗り上げたりして動けなくなってしまう。そこが沼地だったら、そのまま暗黒世界に沈んでしまうかもしれない(怖いよ…)。
だから、わたしも言葉を鍛えたい。こころの自由な旅のために、日々の小さな努力の積み重ねが大切だと思っている。
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