鞠十月堂

詩と文学と日記のブログ

村上春樹 「風の歌を聴け」《2》

 今日のお天気は晴れ。

 気分はおだやか。

 村上春樹『風の歌を聴け』《1》からのつづき。

架空の作家 デレク・ハートフィールド

 『風の歌を聴け』の2回目は、架空の作家、デレク・ハートフィールドについて語ろう。

 ハートフィールドは「すべての意味で不毛な作家」だったらしい。読みづらい文章、デタラメなストーリー、稚拙なテーマで小説を書いていたという。

 これでは作家として救いがないような気がするけれど…… それでも、この「僕」は彼のことを「文章を武器として闘うことが出来る」数少ない作家として、ヘミングウェイやフィツジェラルドとくらべても、その「戦闘的な姿勢」は劣ることがないと称えている。

 大切なのは「文章を武器として闘うことが出来る」ということ。

 この言葉は好き。

 あの頃も、このいまも、わたしは臆病なたちで小心者だから、このような言葉につい憧れを抱いてしまう(わたしもいつか文章を武器に闘うことができるだろうか…)。

 ただ残念なことに彼ハートフィールドには最後まで自分の闘う相手の姿を明確に捉えることはできなかった。結局のところ、不毛であるとはそういったものなのだ。

 そうなのね…… ほんとうは、はじめから分かっていたのかもしれないけれど…… ハートフィールドは架空の作家だから、ほんとうになにかと闘うことはできないのかもしれない(ちがう?)。

 ハートフィールドは「8年と2ヶ月」その不毛な闘いをして死んだそう。エンパイア・ステート・ビルの屋上からの飛び降り自殺だった。

 わたしが村上春樹を読み始めてどれくらいになるのかな…… たぶん8年くらい。なんだか不吉な偶然。とりあえず、笑ってごまかしておこう。

 

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