モンブラン144お掃除奇譚《2》
モンブラン144お掃除奇譚《1》からのつづき。
現場到着
W君の運転するフィアット500で、現場に到着。彼といっしょに現場を調べるマリ所長。
「所長、これといって手がかりになりそうなものはありませんね。まったく綺麗なものですよ」
「W君、君は長生きできるわ」
「健康には気を使っています。毎朝のジョギングはかかしません」
「裏よ、裏!」
「裏ですか?」
「見せかけの美しさにだまされてはだめ。美しさの仮面は、ひとのこころを惑わすもの。やせた猫は真実を愛するわ」
「所長はそれほどおやせになってはいませんが……」
「W君、はやく裏を調べなさい」
「こ、これは…… ダイイングメッセージ」
(展開が意味不明……)
本編 2 ブルーブラックによるペン先裏の汚れ
モンブランのブルーブラックを約4ヵ月(120日)使用した後の、ペン先裏の汚れ(左の写真)です。
144を分解する前に十分水洗いしたにもかかわらず、くっきりとインクの跡(インク滓)がついている……
モンブラン144ペン先(裏) Before After の図。
ペン先の洗浄
まずは、汚れたペン先をペン芯と共に超音波洗浄器に投入してみた。待つこと5分、汚れにまったく変化なし。このインクの跡、もう水には溶けないみたい。さすがはモンブランのブルーブラック。
というわけで、ペン先をガーゼの上に置き、汚れたところを水で湿らせた綿棒で軽くこすってみる。
むむむ…… 綿棒で少しこすったくらいではまったくとれない。まるで油性マジックで書いたみたいに消えないよ。おそるべし、モンブランブルーブラック!!
今度はやや強め(耳かきをするときよりもややつよい感じ)にごしごし。しばらくこすっていると、インクの汚れがいくらか薄くなってきた。地道にこすり続けること約10分、どうにか綺麗になった。
仕上げは、超微粒子コンパウンド(0.5ミクロンのアルミナ)を綿棒に少量つけて軽く数こすり(コンパウンドでのこすりすぎは禁物)。もとのように綺麗になった(右の写真)。
ブルーブラックの汚れについての考察
モンブランのブラックを使っていたときは、10年使ってもまったく汚れがなかったのに、ブルーブラックを4ヵ月使っただけで、こんなにも汚れるとは…… (わたしの率直な感想)
ちなみに、この汚れた状態でインクのフロー(書き味)にとくに変化は感じられなかった。でも、このまま使いつづけて汚れが蓄積していったら、インクのフローにも影響してきそうな予感が…… 144のペン芯は繊細だし、ちょっと怖い(ペン芯については後日書きます)。
4ヵ月のあいだに水洗いしたのは1度だけ(2ヵ月使用後)。これは汚れの具合を見たかったので、そのくらいの間隔にしてみた(ちなみに、モンブランのサービスガイドには約3ヵ月に1度、きれいな水で本体とキャップを洗うように指示されています)。
144のキャップはネジ式じゃくて嵌合式。なので、ペン先が乾きやすい。それに加えて、この144はわたしのメインの万年筆ではないから、使用頻度が低い。1日1回は使っていたけれど、書く文字数はそんなにおおくない。よってペン先のインクは濃縮傾向。このあたりに汚れの原因があるような気もするけど、どうだろう?
わたしの結論
やや残念ではあるけれど、わたしの場合、144でブルーブラックを使うことはむいていないと思ったので、これまで使っていたモンブランのブラックに戻すことにした。
汚れの具合を見ると、インクがよく流れるところは汚れてないみたい。なので、どんどん使えばあまり汚れないような気もする。また、水洗いは頻繁にした方がよいみたい。
146や149はネジ式のキャップで気密性が高く、ペン先が乾きにくい。ブルーブラックを使いたいのなら、そちらの方がむいていると思う。それからなんといっても、ブルーブラックを入れた万年筆はしっかりと使うこと。入れたまま放置しておくと、怖ろしいことになりそうよ。
おことわり:これは、あくまでわたしの144の場合です。使用する万年筆やその使用状況によっては、まったく違った結果になるかもしれません。また、万年筆を分解することには、さまざまなリスク(破損など)が伴いますのでご注意下さい。
追記:わたしは試していませんが、ブルーブラックの汚れはアスコルビン酸(ビタミンC)の水溶液で綺麗になるみたいです。
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