鞠十月堂

詩と文学と日記のブログ

モンブラン146お掃除奇譚《2》

 モンブラン146お掃除奇譚《1》からのつづき(目次はこちら、このシリーズは全8回です)。

146ピストンユニットの分解とメンテナンス

 146のピストンユニットを外します。《1》で紹介した工具を使用。ネジは普通のネジなので、尾軸(尻軸)の方から見て反時計回りに回せば外せます。

モンブラン146 ピストン

 白いピストン、なんかかわいい……

 ピストンユニットを外したところで胴軸の内側をお掃除してみた。すでに水洗いはしていたのだけれど、水で濡らした綿棒でその内側をくるくるくるとこすってみると……

 綿棒にブルーの汚れが…… これは、ブルーブラックの汚れ! ピストンの動きが固くなったのは、この汚れが原因だったのかな?

 ブルーブラックを使っているあいだ、万年筆の中でインクを乾かしてしまうようなことはなかったのだけれど…… ブルーブラックはインク滓がつきやすいと聞く。恐るべし、モンブランのブルーブラック!

 (これは、わたしが使った146の場合です。ブルーブラックを使ったからといって、必ず汚れるわけではないと思います。ただ、ブルーブラックは、他のインクにくらべてインク滓がつきやすいのは確かなようです。参考:モンブラン144をお掃除したときの記事はこちら

モンブラン146 ピストン 分解

 それぞれのパーツはこんなふう。

 ピストンユニットの簡単なご説明。

 写真では分かりにくいですがaの部分は螺旋のネジになっています。dの中も螺旋のネジになっていて、尾軸を回すとその螺旋によって、ピストンが上下する仕組み。

 これは、綺麗にお掃除した後の写真。お掃除する前は、それなりに汚れていた。

 いちばん汚れていたのはbのところ。ここはインクを入れるたびにくるくる回すので、こすれた汚れ(摩耗?)で黒くなっていた。次に汚れていたのはdのところ。なにやら白っぽくてざらついた感じに(塗ってあったグリスが乾燥した?)。eのところはルーペで観察。大きな傷などは見あたらずひと安心……

 まん中の、ピストンガイドは水洗いした後、歯ブラシにコンパウンドをつけてごしごし磨いた。真ちゅうのくすんでいた金色がぴかぴかに。dのところは水で濡らしたガーゼで拭いたところ綺麗になった。

 すべての部品をお掃除したところで、先日入手したセイコーのシリコングリスを塗ろう…… でも、どこにどんなふうに塗ればいいの? よく分からないので、適当に塗ってみることにした。

 まずは、いちばん擦れて汚れていたbのネジにグリスを塗った。それからcのところのネジにも少量塗っておいた。aのところは、すでにグリスが塗ってあり滑りもよいみたいだったので、今回はグリスを塗らなかった。dのところはグリスを薄くのばして塗った。

 ここまでグリスを塗ったところで、ピストンユニットを組み立てる。

 eの膨らんだところにグリスを塗って、ピストンユニットを胴軸に組み込む。尾軸をくるくる回してピストンを5~6往復。これで胴軸の内側にもグリスが塗れたかな?

 いったんピストンユニットを外して、ピストンについた余分なグリスを拭き取った後、再び胴軸に組み込んだ。これにて完成。

 グリスを塗った効果はというと……

 効果は、はっきりと実感できます! まず、ビストンの動きがずいぶん軽くなった(わたしの感覚ではこれまでの2/3~1/2くらい)。

 また、尾軸の回し心地もしっとりとしたものにかわった。セイコーのシリコングリスはかなり粘度が高いので、それをネジに塗った影響かな? いくらかねっとりとしたこの感触は、わたしの好み…… 

 (すっとした回し心地の方がよいという方は、市販のシリコングリスの中から粘度のそれほど高くないものをネジに塗るとよいと思います。また、シリコングリス以外のグリスは、プラスチックを傷める可能性があるみたいなので、使用しない方がいいみたいです)

 146のピストンを外すのは初めてのことなので、緊張しながらの作業だったけれど、やっただけの効果はあったように思う(よかった…)。

 おことわり:このメンテナンスは、わたしの個人的な試みです。万年筆を分解することは破損などのリスクが伴います。近くに信頼できる万年筆のお店がある場合は、そちらでメンテナンスしていただくのが安心だと思います。

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