鞠十月堂

詩と文学と日記のブログ

室内写真《8》 お気に入りの本

 今日のお天気は晴れ。

 暑いです……

 室内写真の8回目は、お気に入りの本(単行本)を撮影してみた。本箱の本をあれこれ手にとりつつ選んだのは、こちらの2冊。

  1. 村上春樹世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド
  2. 安部公房『方舟さくら丸』

 どちらも新潮社の「純文学書下ろし特別作品」で、装丁が司修

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド

 『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』の装丁は、ピンクを基調としたデザイン。これは「ハードボイルド・ワンダーランド」のパートに出てくるピンクのスーツを着た女性のイメージかな?

 彼女の歌う『自転車の歌』は、わたしのお気に入り。

買ったばかりの自転車
色はピンク
ハンドルもサドルも
みんなピンク
ブレーキのゴムさえ
やはりピンク

 だって……

方舟さくら丸

 『方舟さくら丸』の装丁は、黒を基調としたデザイン。こちらは「ぼく」が暮らしている「地下採石場跡」のイメージだろうか。

 建築用石材を採掘していた「地下採石場跡」は「室内競技場ほどもある大ホールから、試掘用の小部屋まで、すくなくとも七十を越える石室が縦横に積み重なり、石段やトンネルで連結された、数千人の収容能力をもつ大地下街なのだ」そう。

 この2冊、物語の面白さはもちろんのこと、本として出来のよさ(丁寧に仕上げられた遊び心のある装丁)が、読書をよりいっそう楽しいものにしてくれます…… (さっと手にして、ぱらぱらとページを繰っているだけで素敵な気分になってくる…)

 せっかくなので帯の文章を引用しておこう。『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』の帯に書かれた紹介文。

 笑い・冒険・思想の三重奏 小説の面白さが横溢した哀しくて楽しい恐怖小説

 本当はベッドに寝転んでのんびりツルゲーネフを読んでいたかったのに、私は地底の老科学者に呼ばれて、おぞましいやみくろたちに狙われる羽目になってしまった。私の知らないうちに世界は始まり、世界は終わろうとしているのだ。そんな無茶な! ピンクのスーツに身を包んだ十七歳の彼女が私に迫ってくる。ボブ・ディランは『激しい雨』を唄いつづけていた。二人組の男は私の腹をナイフで裂き、かたつむりは十月の雨を受けていた。現代の「不思議の国(ワンダーランド)」はタフでやさしく、怖くて哀しい。彼らはみんなどこに行こうとしているのだろうか?

 『方舟さくら丸』の帯に書かれた紹介文。

 選ばれた者だけが生き延びる! 核時代の方舟に乗りうる者は、誰と誰なのか?

 “御破算のとき”が遂にやってきた! この地球に、自らの生をつなぐための血なまぐさい闘いが始まる。生きる資格のある人間とは、誰のことなのか。採石場跡の迷路のような地下壕に、攻撃用武器を備えて住みついた主人公《ぼく》、そこへ三人の男女が入ってくる。さらに奇妙な「ほうき隊」や「ルート猪鍋」グループの少年たち……七年の沈黙を破り、野心的な構図と手法で活写するサバイバル・ゲーム!

 『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』が1985年、『方舟さくら丸』が1984年の出版(どちらも初版本です)ということで、その紹介文もいまの時代の雰囲気とは少しちがう仕上がりになってますね……

 本といっしょに写っている卓上ランプは、夜の読書や詩をつくるときにいつも使っているもの。15ワットの電球が入れてある。夜はこのランプの明かりだけで作業することがおおいです。

 

鞠十月堂