鞠十月堂

詩と文学と日記のブログ

村上春樹

村上春樹 「ノルウェイの森」《序》 誰がその森について語るのだろう

今日のお天気は薄曇り。 風がつよい。 この頃の文学カテゴリーは安部公房関連の記事ばかりなので、たまには村上春樹関連の記事でも…… 1987年に書き下ろし作品として発表された長編小説『ノルウェイの森』は、わたしにとって(そしてたぶん村上春樹にとっても…

村上春樹 「風の歌を聴け」《18》

今日のお天気は小雨。 そろそろ梅雨入りかな? 村上春樹『風の歌を聴け』《17》からのつづき(1回目はこちら)。 死という出来事 『風の歌を聴け』〈21〉は、とても短い。文庫本でわずかに8行。でも、書かれている内容には、いくらかどきりとさせられる。 〈…

村上春樹 「風の歌を聴け」《17》

今日のお天気は晴れ。 明るい日差しが素敵。 村上春樹『風の歌を聴け』《16》からのつづき(1回目はこちら)。 双子 双子 双子 『風の歌を聴け』〈20〉から、ジェイズ・バーでの「僕」とレコード店で知り合った彼女との会話。 「兄弟は?」「双子の妹がいる…

村上春樹 「風の歌を聴け」《16》

今日のお天気は晴れ。 明るい日差しが素敵。 風邪の具合も、だいぶよくなってきた。でもね、からだのあちこちが痛い。体調の回復に合わせて、いくらか憂鬱だった気分も回復傾向(よかった…)。 村上春樹『風の歌を聴け』《15》からのつづき(1回目はこちら)…

村上春樹 「海辺のカフカ」《5》 夏目漱石をめぐって

村上春樹『海辺のカフカ』《4》からのつづき(1回目はこちら)。 『海辺のカフカ』に出てくる夏目漱石のことを語ってみよう。 『虞美人草』と『坑夫』 はじめに『河合隼雄対話集 こころの声を聴く』から村上春樹の語りを引用しよう。 村上 夏目漱石というの…

村上春樹 「海辺のカフカ」《4》 源氏物語と生き霊

村上春樹『海辺のカフカ』《3》からのつづき(1回目はこちら)。 前回は『海辺のカフカ』に河合隼雄との関連がみられることを語った。今回はそのつづきで、生き霊のお話をしてみたいと思う。 源氏物語と生き霊 『海辺のカフカ』には「生き霊」について、あれ…

村上春樹 「風の歌を聴け」《15》

今日のお天気は晴れ。 風がややつよい。 村上春樹『風の歌を聴け』《14》 からのつづき(1回目はこちら)。 ジョーク 死 セックス 『風の歌を聴け』〈19〉は、こんなふうにはじまる。 話せば長いことだが、僕は21歳になる。 まだ充分に若くはあるが、以前ほ…

村上春樹 「海辺のカフカ」《3》 河合隼雄 元型

村上春樹『海辺のカフカ』《2》からのつづき(1回目はこちら)。 『海辺のカフカ』と河合隼雄の関係ついて語ってみよう。 河合隼雄の面影 『海辺のカフカ』が発表されたのが2002年、その約7年前の1995年に村上春樹は河合隼雄と『村上春樹、河合隼雄に会いに…

村上春樹 「海辺のカフカ」《2》 コーヒーにお砂糖を入れますか?

村上春樹『海辺のカフカ』《1》からのつづき。 しばらくぶりの「文学」カテゴリーということで、軽めの内容で書いてみたいと思う。コーヒーのお話をしてみよう。 コーヒーにお砂糖を入れますか? コーヒーの香り、いいですねぇ~ 『海辺のカフカ』にもコーヒ…

村上春樹 「風の歌を聴け」《14》

今日のお天気は小雨。 こちらの気分は、ほどほど。 村上春樹『風の歌を聴け』《13》からのつづき(1回目はこちら)。 厳しさの断章 村上春樹の執筆スタイル 『風の歌を聴け』〈18〉では、「僕」のところに、レコード店でアルバイトをしていた女の子から電話…

村上春樹 小説の技術《2》 託す

今日はとってもよい天気。 気温はあたたか。 でも、わたしは昨日の夜から、なんだか調子がよくない。 ここはひとつ「村上春樹 小説の技術《2》」を書いて、本来の調子を取り戻そう(1回目はこちら)。創造的な場所に触れることは大切。それは、わたしのここ…

村上春樹「海辺のカフカ」《1》 それぞれの百年

今日のお天気は晴れ。 寒さはほどほど。 村上春樹『海辺のカフカ』について語ってみよう。 目次 それぞれの百年(このページ) コーヒーにお砂糖を入れますか? 河合隼雄 元型 源氏物語と生き霊 夏目漱石をめぐって 村上春樹の百年 わたしのなかで百年といえ…

村上春樹 小説の技術《1》 文体

今日は雨降り。 気温はあたたか。 お散歩はお休み。 わたしは文章について、村上春樹からおおくのことを教わった。いくらかの偶然といまの気分から、目にとまったところを引用してみよう。 1990年のインタビューから。 いちばん大事なのは言葉なんです。言葉…

村上春樹 「風の歌を聴け」《13》

今日は、ぼんやりとした曇り空のお天気。 日差しはないけれど、気温はあたたか。それから風がつよい。 ごぉぉ~、ごぉぉ~、竹林がゆらりゆらりとゆれている。 村上春樹『風の歌を聴け』《12》からのつづき(1回目はこちら)。 軽い喪失感と失われた無垢 『…

村上春樹 「風の歌を聴け」《12》

今日も雨降り。 小鳥たちの囀りが、遠くに聞こえる。 村上春樹『風の歌を聴け』《11》からのつづき(1回目はこちら)。 小説のリアリティ 『風の歌を聴け』〈15〉は「僕」と〈8〉で登場した彼女が、レコード店で再会する場面。 ずっと昔にとある女の子から借…

村上春樹 「風の歌を聴け」《11》

今日は、よいお天気。 日差しはとても明るい。 村上春樹『風の歌を聴け』《10》からのつづき(1回目はこちら)。 読書とスパゲティー 『風の歌を聴け』〈12〉は、ラジオN・E・Bのディスクジョッキーから「僕」のところに電話がかかってくる。彼の質問に答える…

村上春樹 「風の歌を聴け」《10》

今日のお天気は晴れ。 明るい日差しが素敵。 村上春樹『風の歌を聴け』《9》からのつづき(1回目はこちら)。 60年代 『風の歌を聴け』〈10〉は、さり気ない感じ。「僕」はジェイズ・バーで「鼠」を待っているのだけれど、彼は現れず。 「グレープフルーツの…

村上春樹 「風の歌を聴け」《9》

今日のお天気は雨。 このところ雨の日がおおいな…… 村上春樹『風の歌を聴け』《8》からのつづき(1回目はこちら)。 僕と彼女のささやかな物語がはじまる 『風の歌を聴け』〈8〉を語ろう。ここから、この物語がスタート。といっても、物語そのものは、なんて…

村上春樹 「風の歌を聴け」《8》

今日のお天気は晴れ。 明るい青空。 村上春樹『風の歌を聴け』《7》からのつづき(1回目はこちら)。 伝達について 文章という不完全な容器 『風の歌を聴け』〈7〉は、小さい頃にとても無口だった「僕」のお話。 小さい頃、僕はひどく無口な少年だった。両親…

村上春樹 「風の歌を聴け」《7》

今日のお天気は晴れ。 おだやかな気候。 村上春樹『風の歌を聴け』《6》からのつづき(1回目はこちら)。 問題はいろいろあるけれど…… エッセイ『村上ラヂオ』からの引用。 時移り今、夕暮れにひとり庭椅子に座って、人生をつらつらとふり返ってみると、僕と…

村上春樹 「風の歌を聴け」《6》

今日のお天気は晴れ。 こちらの気分は、ほどほど。 村上春樹『風の歌を聴け』《5》からのつづき(1回目はこちら)。 鼠の登場 僕との不確かな関係 『風の歌を聴け』〈3〉で「鼠」登場。 「鼠」は「僕」の影のような存在って、説明でいいのかな? 何かの本に…

村上春樹 「風の歌を聴け」《5》

今日のお天気は小雨。 気温は低め、空は明るい灰色。 村上春樹『風の歌を聴け』《4》からのつづき(1回目はこちら)。 夏の太陽はいずこに…… 『風の歌を聴け』〈2〉をみてみよう。 この話は1970年の8月8日に始まり、18日後、つまり同じ年の8月26日に終わる。…

村上春樹 「風の歌を聴け」《4》

今日のお天気は晴れたり曇ったり。 気がつけば、いつのまにか10月。 村上春樹『風の歌を聴け』《3》からのつづき(1回目はこちら)。 芸術の生まれるところ 『風の歌を聴け』〈1〉から、芸術についての「僕」の考察(第4回なのに、まだ〈1〉というスローペー…

村上春樹 「風の歌を聴け」《3》

今日は朝から雨降り。 空気がもわっと湿っぽい。 村上春樹『風の歌を聴け』《2》からのつづき(1回目はこちら)。 雨降りの情景 『風の歌を聴け』を語る前に、ちょっと寄り道…… 雨降りで思い出す村上春樹の作品はこちら。 『世界の終りとハードボイルド・ワ…

村上春樹 「風の歌を聴け」《2》

今日のお天気は晴れ。 気分はおだやか。 村上春樹『風の歌を聴け』《1》からのつづき。 架空の作家 デレク・ハートフィールド 『風の歌を聴け』の2回目は、架空の作家、デレク・ハートフィールドについて語ろう。 ハートフィールドは「すべての意味で不毛な…

村上春樹 「風の歌を聴け」《1》

今日のお天気は晴れ。 気温は27度。これくらいだと暑くなくていいね。 村上春樹『風の歌を聴け』について語ろう(このシリーズは《18》まで書いたところで休止しています…)。 完璧な文章 完璧な絶望 『風の歌を聴け』のはじまりはこんなふう。 完璧な文章な…

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