窓の外は小雨 「1Q84」読書中《2》
今日のお天気は小雨。
気温はそれほどでもないけれど、湿度が高い。
村上春樹『1Q84』は第16章「(天吾)気に入ってもらえてとても嬉しい」(377ページ)まで、読みすすめた。毎日100ページずつくらいのペース。わたしには、これくらいの読書量がちょうどよい。
『1Q84』は、分厚い単行本3冊ほどの長いお話。村上春樹の長いお話といえば『ねじまき鳥クロニクル』があるけれど、小説の出来としては、いままでのところ、こちらの方がいいなあ、という印象を持っている(小説の出来と面白さとは、いくらかべつのことではありますが…)。
『ねじまき鳥クロニクル』は、読みながら「大丈夫かなぁ…」と思うことが、ときどきあった。それにくらべて『1Q84』は、安心して読める。自由に語りながら、全体が十分にコントロールされているという印象がある。それぞれの登場人物達を楽器に例えるなら、オーケストラの指揮者として申し分ない出来。素晴らしい!
第16章では、バッハの音楽が出てくる。『平均率クラヴィーア曲集』と『マタイ受難曲』。
なんだか懐かしいな…… わたしが10代後半から、20歳頃にかけてよく聴いていた曲たち……
『平均率クラヴィーア曲集』は、スヴャトスラフ・リヒテルのピアノで、『マタイ受難曲』は、カール・リヒター指揮、ミュンヘン・バッハ合唱団、ミュンヘン・バッハ管弦楽団でよく聴いていた(わたしの持っている『マタイ受難曲』は、1969年東京文化会館でのライヴ録音、この演奏は本当に素晴らしい…)。
第16章でふかえり(深田絵里子)が、この『マタイ受難曲』を歌うところがある。ページにはドイツ語の歌詞が…… こういうのは、ちょっと気になる。この歌詞はどこだったかな? 調べてみると……
Nr.10 ARIE(アリア)でした(杉山好の訳を紹介しておきますね)。
Buß' und Reu'
Knirscht das Sündenherz entzwei,
Daß die Tropfen meiner Zähren
Angenehme Spezerei,
Treuer Jesu, dir gebären.悔いの悲しみは
罪の心を千々にさいなむ。
わが涙のしずく
うるわしき香水となりて、
信実(まこと)なるイエスよ、おん身に注がんことを。
これを歌った「彼女のドイツ語の発音は明瞭で驚くばかりに正確だった」そう。ふかえり、すごい…… このお話が、これからどうなるのかとても楽しみ。
夜は、第17章と18章を読む予定。
追記:あらら、『マタイ受難曲』の訳詞は「BOOK2」の方に載っていた。その訳は「信実(まこと)」がひらがなの「まこと」になっているだけで、ほぼ同じ…… (このお話のなかで『マタイ受難曲』は、それなりの意味をもっているのかな?)