お散歩写真 夕暮れの坂道 カーブの向こう
今日のお天気は曇りのち晴れ。
気温は低めで、ちょっと寒い。
先日撮影したお散歩写真でも……
夕暮れの坂道、カーブの向こうの図。
このような先の見通せない坂道のカーブには、なにかそそられるものがある。安部公房の短編小説『カーブの向う』(1966)から引用しよう。
そこでぼくは、ゆっくりと立ちどまる。空気のバネに押しもどされたように、立ちどまる。左足の爪先から、右足の踵にうつしかけた重心が、また逆流してきて、左の膝あたりにずっしりと重みをかける。道の勾配がかなり急だからだ。
『カーブの向う』いいですねぇ~
わたしも夕暮れの坂道で、『カーブの向う』の主人公と同じように、空気のバネに押しもどされたように立ちどまる……
立ち止まった理由は、ぼくなりに、むろん分かってはいたが、しかし信じがたいことだった。なにしろぼくは、このすぐ先の、カーブの向うにあるはずの風景を――いま目にしている、この坂の途中と、同じくらいよく見知っているはずの風景を――なぜかどうしても思い出すことが出来なかったのである。
もちろんわたしは『カーブの向う』の主人公ではないのだから、カーブの向こうの記憶を失ってはいない。その風景を鮮明に思い描くことが出来る。でも、カーブを曲がった先にある風景は、本当にわたしが思い描いている通りの風景なのだろうか? もしかしたら、カーブの向こうにあるのは、わたしが記憶しているのとはまったく別の世界かもしれない。
この世界では、ときおり不思議なことが起きるという。突然、ひとがいなくなってしまうこともある。神隠し…… わたしは、あのときこのカーブを曲がるべきではなかったのだ……
怖い……
というような、とりとめのない空想に遊びながら、夕暮れのお散歩を楽しむこともあります(ちなみに、このカーブの向こうには大きな家が建っています)。
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