村上春樹 「海辺のカフカ」《2》 コーヒーにお砂糖を入れますか?
村上春樹『海辺のカフカ』《1》からのつづき。
しばらくぶりの「文学」カテゴリーということで、軽めの内容で書いてみたいと思う。コーヒーのお話をしてみよう。
コーヒーにお砂糖を入れますか?
コーヒーの香り、いいですねぇ~ 『海辺のカフカ』にもコーヒーが出てくる。たとえばこちら、第23章から引用しよう。
グラインダーで豆を挽き、注ぎ口の細い特別なポットでお湯をしっかり沸騰させ、それを少し落ち着かせ、ペーパーフィルーを使って時間をかけてコーヒーを抽出していく。出来上がったコーヒーに大島さんはほんの少しだけ、なにかのしるしのように砂糖を入れる。クリームは入れない。それがいちばんおいしいコーヒーの飲みかたなのだと彼は主張する。
描写が具体的で、とても分かりやすい。ここを読むたびにコーヒーをいれたくなる。「なにかのしるしのように砂糖を入れる」という表現が、わたしの好み。
「それを少し落ち着かせ」のところは、村上春樹のとある文章で「五秒ほど」だったと記憶しているのだけれど、それがどこに書いてあったのか、いまは思いだせない(こういうのはちょっと残念…)。
短編集『神の子供たちはみな踊る』から「UFOが釧路に降りる」を引用しよう。
彼女は事実をとり違えたことで、むしろ自分が傷つけられたような表情を顔に浮かべた。小村はコーヒーに砂糖を少しだけ入れて、スプーンで静かにかきまわした。
なるほど…… コーヒーへのお砂糖は、少しだけ入れるのがポイントらしい。村上春樹は執筆するときに、コーヒーを飲みながらおこなうらしいけれど(詳細はこちら)、そのコーヒーにも、なにかのしるしのように少しだけお砂糖が入っているのだろうか? ちょっと気になる。
ちなみに、わたしはコーヒーにお砂糖は入れません。そのかわり、クリームをダブルでいれます。ダブルというのは、コーヒー用クリームのポーション(5ml)をふたつ入れるという意味。それがわたしにとってのいちばんおいしいコーヒーの飲み方。クリームのポーションはネスレのクレマトップを愛用しています。
追記:『村上さんのところ』によると、村上春樹はコーヒーにお砂糖やクリームは入れずに、ブラックで飲んでいるようです。
では、これくらいで…… チャオ!