モンブラン144お掃除奇譚《1》
モンブラン144、分解掃除の記録。
とくに不思議な話ではないけれど、いま気分でタイトルに「奇譚」とつけてみた(モンブラン144お掃除奇譚は全8回です)。
※ 各記事の内容については個人的な試みなので、参考ということで読んでいただけたらと思います。
プロローグ
愛用の紅茶のカップを手にくつろぐマリ所長。そこにアシスタントのW君が、彼女の優雅なひとときを少しも考慮しない騒々しさで入ってくる。
「所長、たいへんです!」
「W君、この部屋に入るときは、ちゃんとノックしなさいって言っているでしょ」
「ひさしぶりに大きな事件ですよ」
「また、そんなことを言って。いつもの猫がらみの事件でしょ。うちは、いなくなった猫を探すために、事務所をかまえているのではありませんよ」
「所長、今回は猫ではありません。ばらばら事件です」
「あら、それは事件だわ」
「これが、現場写真です」
W君から手渡された写真に見入るマリ所長。
「うむむ」
「どうです、みごとにばらばらでしょう。ここまでする犯人の心理とは……」
「……それにしても美しい」
「美しい? これが?」
W君を上目遣いにじっと見つめるマリ所長。
「君にはこの萌えというか、美がわからんのかね。144のほっそりとした少年のようなフォルム。彼の繊細なこころをそのまま形に表したようなペン芯。きらきらと輝く瞳のようなペン先…… W君、君は美についてもっと勉強するべきだわ」
(収拾がつかなくなりそうなので、これくらいで…)
本編 1 144の分解と各部の名称
昨年9/17にモンブラン144に入れるインクを、それまでのモンブランのブラックからブルーブラックにかえた。
その後、ブルーブラックの色と書き味にすっかり馴染んでしまった…… でも、ブルーブラックはパーマネントのインク、万年筆内部の汚れが気にかかる。
というわけで、ブルーブラックにかえて4ヵ月あまり。144のペン先を抜いて、点検、お掃除をしてみた(万年筆のお掃除シリーズ、モンブラン146お掃除奇譚はこちらからどうぞ)。
144はシンプルな構造なので、146のように工具がなくても簡単に分解することが出来る。
参考:144のペン先は引っ張れば抜けます。そのときペン芯の薄いフィンにつよい力がかかると曲がってしまうので注意します。少し引っ張ってみて抜けないときは、無理しない方がいいと思います。
モンブラン144、分解されるの図。
各部の名称です。
- 軸(胴軸)
- コンバーター
- ペン芯
- ペン先
- 首軸
- キャップ
簡単なご説明。
わたしのモンブラン144は90年代後半のもの。ペン先はEF。
軸とキャップ[1][5][6]は樹脂製(モンブラン樹脂)。いっけん普通の黒だけれど、強い光にかざすとわずかに透けて、その深みのある黒が素敵。
コンバーター[2]にインクが入ります。そのインクがペン芯[3]の細い溝をつたって(毛細管現象)ペン先[4]へ。わたしの144のペン芯はプラスチック製(ペン芯にはエボナイト製のものもあります)。
144のペン先は14K。標準サイズの146と比べると、ふたまわりくらい小さい(うわさによると18Kの144もあるらしい、ほんと?)。
これは綺麗にお掃除した後の写真。では、お掃除する前はどうだったかというと……
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