モンブラン146インク奇譚
今日もお天気はあまりよくなかった。
モンブラン146へのインクの入れ方のお話。とくに不思議な話ではないけれど、タイトルにはやはり「奇譚」とつけてみた。
痕跡
ルーペを片手に、現場を入念に調べるマリ所長とW君。
「所長、犯人は現場にその痕跡をまったく残していません。ほんの少しの手がかりもないとなると、この事件は……」
「そうかしら、W君」
「所長、なにか見つけられたんですか?」
「いえ、なにも」
「ですよね……」
「痕跡を残していないことこそが手がかりだわ」
「そうなんですか?」
「犯人はその痕跡を消すことだけにご執心のようね。わたしたちの推理を混乱させるための、偽りの痕跡を残すことも出来たはずなのに、そのような小細工はしていない。これこそが手かがりになるのよ。この潔癖さが、この事件の犯人像をわたしに与えてくれるわ」
帰ってきたマリ所長。彼女はいったい何者?
(マリ所長はフィクションです…)
本編 わたしのインクの入れ方は……
モンブラン146ボルドーは、現在、モンブランのブルーブラックを入れて使ってる(追記:再びモンブランのブラックに戻しました…)。
146は吸入式の万年筆。インク瓶にペン先と首軸をとっぷりとつけインクを入れる。146を使いはじめた頃は、わたしもそのようにしてインクを入れていた。
でもね、これってペン先とか首軸がインクで汚れます。インクを入れたあと、ティッシュなんかで綺麗に拭く必要がある。わたしは、この作業があまり好きじゃなかった。
綺麗に拭いたつもりでも、ペン先は微妙にインクで汚れていたりするし…… 微妙に汚れていると、使っているうちにその汚れを伝ってインクがペン先に滲んできたりする。インクで汚れていない、ぴかぴかのペン先がわたしの好み。
そこで別のインクの入れ方を考えてみた。
ここで使用するのはスポイト。やり方はというと……
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ペン先を上に向け、尾軸(尻軸)を回して中のピストンを移動します(このとき、ゆっくりやらないとハート穴からインクが出てくることがあるので注意します)。
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スポイトにインクを適量取ります。
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万年筆を水平にした状態で、ペン先の裏のフィンにスポイトのインクを注入。
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フィン全体にインクが満ちたところで、尾軸をまわしてインクを吸わせます。
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3~4の操作を必要な回数繰り返します。
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尾軸の最後のひとひねりは、インクではなく空気を吸い込ませて作業は完了(スポイトに残ったインクは再びインク瓶に)。
手間と繊細さが要求される作業…… でも、こうするとペン先も首軸も、汚れることなくインクを入れることが出来る。
わたしは、このような作業が苦にならない。どちらかというと、ちょっと楽しかったりするので、もう長いことこのやり方で万年筆にインクを入れている。
こんなインクの入れ方をしているのは、わたしくらい? でも、万年筆の世界はとてもディープな世界と聞くから、世の中にはもっと奇想天外な方法で万年筆にインクを入れいてる方がいらっしゃるかも……
写真のスポイトは100均で購入したもの。金属の部分がやや長かったので、適当なところでカットして使ってます。
追記:このインクの入れ方は、ペン芯のフィンにインクを含ませるということから、その形状が写真の146のようなもでないと上手くいかないと思います(現行の146や149では可能と思われますが、エボナイトのペン芯を持つタイプのものはフィンの刻みが粗いので、ちょっと無理な気がします…)。
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