鞠十月堂

詩と文学と日記のブログ

安部公房

安部公房 「箱男」《5》 写真

安部公房『箱男』《4》からのつづき(1回目と目次はこちら、登場人物とあらすじは《2》に書いてあります)。 『箱男』におさめられた写真について語ってみよう。 8枚の写真についての詳しい説明 『箱男』におさめられた8枚の写真について、安部公房はいろい…

安部公房 「箱男」《4》 箱の製法

安部公房『箱男』《3》からのつづき(1回目と目次はこちら、登場人物とあらすじは《2》に書いてあります)。 『箱男』のシンボルともいうべき箱について語ってみよう。 箱の制作 1/8スケール 箱男の箱をどのようにしてつくるかは、「箱の製法」に詳しく書か…

安部公房 「箱男」《3》 ネガと新聞記事

安部公房『箱男』《2》からのつづき(1回目と目次はこちら)。 安部公房『箱男』をネットで少し調べてみたところ、登場人物やあらすじについて書かれたものは、思いのほか少ないみたい。前回はそれらについて、わたしの推理もつけくわえながら、いくぶん詳細…

安部公房 「箱男」《2》 登場人物とあらすじ

安部公房『箱男』《1》からのつづき。 『箱男』の登場人物とあらすじについて語ってみよう。 登場人物 はじめに『箱男』の主要な登場人物たちをご紹介。 ぼく――箱男。T市の繁華街で路上生活をしている。元カメラマン。空気銃で狙撃されたことをきっかけに、…

安部公房 「鞄」《2》 構造のなかの自由

安部公房『鞄』《1》からのつづき。 前回は、安部公房の『鞄』を「創作」と結びつけて語ってみた。あまり説明的であってはいけないと思い、あんなふうに語ってみたけれど、やや分かりにくかっただろうか。 意識と無意識の関係 意識的なこと(思考)と無意識…

安部公房 「鞄」《1》 創作のなかの自由

今日のお天気は晴れ。 とても暑かったよ…… 安部公房の『鞄』について語ってみよう(『鞄』は新潮文庫『笑う月』に収録されています)。 目次 このシリーズ(全14回を予定)は『鞄』で描かれた自由について語ります。第1部は、わたしの直感的な視点、発想から…

安部公房 「箱男」《1》 詩の情景

今日は梅雨とは思えないよいお天気のいち日だった。 気温がぐっと上がって、暑い…… 安部公房『箱男』について語ってみよう。 目次 このシリーズ(全22回)は『箱男』の魅力とその謎について語ります。 謎解きについては『安部公房全集』からも引用しつつ詳細…

安部公房と大江健三郎 《1》

今日は暗い曇り空のいち日だった。 こちらは軽い頭痛、からだが少し熱っぽい。 大江健三郎が語る安部公房 『安部公房全集』の各巻には「贋月報」というサブ・ノート(小冊子)がついている。どれも4ページくらいの短いものだけれど、安部公房と関係のある人…

安部公房 「砂の女」《序》 逃れられない世界

今日のお天気は雨。 安部公房『砂の女』について語ろう。 (以下の文章は『砂の女』シリーズのための準備原稿です) 砂の世界がわたしたちに語りかけてくるもの 『砂の女』について、以前、次のような文章を書いたことがある。 (……)この砂の世界こそが、わ…

安部公房 小説の技術《2》 愛される登場人物たち

安部公房 小説の技術《1》からのつづき。 今回は小説の登場人物たちについて語ってみよう。 弱者と凡庸 わたしは安部公房の小説に、不思議な居心地のよさを感じることがある。どうしてだろう? と考えてみても、よくは分からない。 それは、小説の内容(物語…

安部公房 小説の技術《1》 書いては捨てる作業

今日のお天気は雨。 気温はあたたか。 「安部公房 小説の技術」の1回目。今回はその執筆のスタイルについて語ってみよう。 夜型と朝型 『死に急ぐ鯨たち』から、インタビュー「錨なき方舟の時代」より(このインタビューがおこなわれたのは1984年、安部公房…

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