VANILLA WALTZ
チャイムが鳴って授業が終わった
明日の時間割をノートの余白に書き写しておこう
あれ? 授業は昼食をはさんで体育ばかり 他の科目は?
この学校のこと はじめから好きじゃなかった
外は雨降り 窓から校庭を見下ろした
傘を差したまま ふたり人乗りの自転車で下校する生徒たち
気がつくとクラスメイト数人に囲まれていた
いやだな 怖いよ……
奇妙な滑稽さ あなたたちなにが言いたいの?
黙ったまま軽業師の仕草でブリッジをつくってみせる
簡単だよ からだの柔らかさは生まれつきなんだ
世界がくるりと反転する
記憶のなかのあの子は両手で顔を隠していた
さめざめと拒絶される愛がある 冷たさのなかで考える
やがて誰もいなくなる ひとりぽつんと残された
壁にもたれて VANILLA WALTZ を口ずさむ
#0140