遠くから きみの名前を呼ぶ
鏡のような湖面に漕ぎ出す白い小舟
ふたりの女の子がむかいあって乗っている
ひとりはすらりと背が高い もうひとりは丸顔
オールを漕いでいるのは丸顔の女の子
鮮やかに映された青空のなかをすすすとすすんでゆく
やがてゆっくりと左右に揺れはじめる
すらりとした女の子はかたい表情で怯えている
丸顔の女の子は小さく笑いつづけている
揺れはますます大きくなるばかり
彼女はなにをそんなに怖れているのだろう?
彼女はなにがそんなに可笑しいのだろう?
ふたりだけの秘密は誰にも知られることがない
#0134
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