わたしという器が傾くと
わたしという器が傾くと情景がこぼれる
駅に向かっていると思っていたのに あれ? おかしいな
踏切を渡った先は運河にさえぎられて それ以上すすめない
いま来た道を引き返した あれれ? 知らない場所だった
夏草が生い茂る空地に家族全員で立っていた
わたしという器が傾くと言葉がこぼれる
駅はこっちだよ ほら あそこに白い建物が見えるでしょ
笑顔で父と母を案内した すぐそこに賑やかな往来が見えた
お昼すぎに出かけたのにね この薄暗さは夕暮れなのかな
どこか縁日の魔術的時間を思わせる奇妙な日曜日だった
#0157
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