岬の先端には美と哲学があった
そのひとは明るく語った
簡単なことなのさ 美には哲学が必要なのさ
美はいつだって哲学のことを求めて止まないのさ
美は哲学のようでありたいと秘かに思っているのさ
つないだ手は温かだった 古風な薔薇の匂いだった
からだは小刻みに震えていた 怖くはなかった
美は哲学に太陽ほどの真実を見ているのさ
美と哲学は分かちがたく結ばれた愛の姿なのさ
誰もが美と哲学の仲のよさに嫉妬してしまうのさ
水平線は白くかすんで見えた 遙かな世界を思い描いた
涙が頬を伝うよりはやく わたしたちはひとつだった
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